もうすぐ春ですね
昨年春、実家を引き渡す前に、家の中のものを業者に入ってもらって処分した。
私たちの荷物はもうほとんどなかったから、大部分は父の荷物。
質素な一人暮らしだったから、荷物も少ないと思っていたけど、トラックに積んでみたら、軽くトラック一台分あった。
例えば…
私たちが引っ越す直前に壊れて新調したばかりだった洗濯機
ひとり暮らしになる際に買ったシングルベッド
同じくひとり暮らしになる際に、父が気に入って、でも値段が高くて悩んで悩んで…思い切って買ったチェスト
テレビ
アルバム
母の鏡台の鏡
父の趣味だったジグソーパズルの作品何点か
お雛様
残したものはそのくらいで、あとは全て持って行ってもらった。
実家のお雛様は、姉と私、ふたりのもので、7段飾りだった。
幼い頃はよく7段飾ったけれど、母が患ってからは、お内裏様とお雛様以外は、全く出さなくなって、長く天袋に放置されたままだった。
まさに40年ぶりくらいに天袋の中のものを開けてみたら、三人官女、五人囃子、右大臣左大臣、お嫁入り道具、牛車…全て揃っていたけれど、どれも傷みが激しく、処分するしかないね…ということに。
久しぶりに顔を見れて嬉しかったな。
もっと出してあげれば良かったな。
父や母、祖父母、幼い頃に亡くなった父の妹、曾祖父母…全員の位牌を姉の家に移動させるにあたり、仏壇を処分することになっていたので、その仏壇と一緒に、お内裏様とお雛様以外の人形たちは、供養して処分してもらった。
で、お内裏様とお雛様は、私が譲り受けた。
姉には女の子がいて(もう今年二十歳になる)、彼女の家には父が選んだお雛様がある。
私が授かったのは全員男子だったので…てな理由。
こちらに持ってきてからは、毎年出してます。
今日は雛あられをお供えしようと思っていたけど、体調を崩してしまい、買い物へ行かなかったので、また明日。
歳を重ねるごとに、愛おしさが増していきます。
穏やかなふたりのお顔を眺めていると、時間を忘れてしまいます。
着物から綿が覗いてしまっているのもご愛嬌。
誰かに手を加えてもらって綺麗にするつもりはありません。
私の生が終わったら、その時、処分してもらおうと思っています。
そうそう
お父さん
今日、長男が第一志望の大学合格したよ。
部活を引退してからの3カ月の努力は、本当に凄かった。
お父さんが聞いたら
「すげ〜な〜」
って笑いながら驚くような優秀な学校だよ。
だけど、その大学も行かないかもしれないって。
3カ月でここまで伸びたから、あと1年勉強したら、もっと上を目指せる!って言ってる。
良く考えて、君が出した結論なら応援するよって伝えたよ。
正直、経済的なことを考えると大変だけどさ…
夫が長男に「あの大学は就職が凄くいいらしいよ」とアドバイスしても「就職のために大学行くわけじゃないから」とキッパリ言ってたよ。
あの子は、いつの間にあんなにしっかりしたんだろう…
だから今は大変だなと思う気持ちよりも、頼もしいなと思う気持ちが強いかな。
誰に似たのかね?
有言実行なとこは、お父さんに似たのかな?
3年間部活が大変で大変で。
でも、その部活で全日本に出て…
その経験が、彼の自信になったのかもしれないね。
部活と受験と…
長いこと張り詰めていた糸が緩んで、しばらくは穏やかな心持ちで生活できるでしょう。
もうすぐ春
お父さん、もう実家を離れてうちに来てますか?
一緒に、菜の花でいっぱいになる土手を見ようね。